検索エンジンの代わりに、AI検索をする
近年、ChatGPTやPerplexity、GoogleのGeminiなどの生成AIを使った検索が登場し、ウェブサイトへの新たな流入経路になりつつあります。実際、中小サイトの分析ではChatGPTからの流入が6ヶ月で123%増加し、AI経由のアクセスが全オーガニック流入の約1.24%に達したとの報告があります。
生成AI(ChatGPTやGeminiやPerplecity)で調べたほうが満足いく検索結果になることも増えてきており、調べたいことをまず生成AIで検索する方も増えてきています。医師の中でもAI検索が当たり前になってきています。
今後も検索エンジンの代わりにAI検索をする流れは加速する可能性があり、クリニックのホームページ対策でもAI検索結果に対して対策をしていきたい。という声も増えてきています。
特にChatGPTが業種問わず最大のトラフィック源で、PerplexityやGemini(Googleの生成AI検索)は医療のみならずEC分野でも存在感を増しています。もっとも、2025年の現状ではAI検索からサイトへのクリック率は1%未満と低いものの、将来に向けて競合の中で自サイトを際立たせる工夫が必要です。
このページでは、WordPress環境で実践できる具体的な対策を中心に、生成AI検索経由の流入増加策を整理します。
LLMOでも、本質は基本SEO対策と高品質コンテンツの充実
検索意図に合ったコンテンツ作成: ユーザーが求める情報を的確に提供する高品質コンテンツは、従来の検索同様にAI検索でも根幹です。まず自社のターゲット読者がどんな質問を投げかけるかを調査し、それに答える形で記事やページを作成しましょう。Q&A形式のコンテンツや「〜の方法」「〜とは?」といった見出しを含めることで、AIが回答を生成する際に参照しやすくなります。
専門性・権威性の打ち出し: GoogleのE-E-A-T(経験・専門性・権威性・信頼性)の考え方は、AI検索にも通じます。どの検索エンジンでも権威あるコンテンツが選ばれやすいため、専門的な知見に基づく記事や信頼性の高い情報発信に努めましょう。具体的には、著者プロフィールで専門性を示す、引用や参考文献を明記する、実データや実績を交えるといった工夫はAI検索でも有効です。また、権威付けの一環として他サイトからの被リンク獲得やSNS上での言及を増やすことも、新しいAI検索エンジンが専門性を判断する助けになるでしょう。
最新情報の提供とアップデート: AI検索ユーザーは最新の回答を求めるケースも多いため、コンテンツを定期的に見直し最新の事例やデータに更新しましょう。特に技術系やニュース系の記事は情報の鮮度が重要です。また、記事公開日や更新日を明示しておくと、AIが回答に組み込む際に「情報が古い」と判断されにくくなります。
構造化データとメタタグの活用
- 構造化データ(Schema)のマークアップ: コンテンツにSchema.orgの構造化データを追加し、検索エンジンやAIが内容を理解しやすいようにしましょう。例えばFAQページならFAQスキーマ、製品ページならProductスキーマ、記事ならArticleスキーマをマークアップします。構造化データにより文脈が明確になると、AIも情報を把握しやすくなり、回答生成時に取り上げられる可能性が高まります。実際、LLM(大規模言語モデル)はエンティティ(対象となる事物)とその関係性で世界を理解しているとされ(参考:searchengineland.com)、Schemaでエンティティ(著者名や組織名、製品名など)を明示することは有益です。WordPressではYoast SEOやRank Mathなどのプラグインが自動的に記事やパンくずリストのSchemaを出力してくれるため、これらを活用するとよいでしょう。
※Rank MathはローカルSEO対策も容易に実装してくれ、かつ操作も簡易で使いやすいです。 - OGP設定と構造: OGP(Open Graph Protocol)やTwitterカードのメタタグも整備しましょう。これにより、AI検索の結果からユーザーがリンクをクリックした際や、AIから共有された際に魅力的なスニペットが表示されます。具体的には、適切なタイトル、説明、サムネイル画像を設定しておきます(WordPressではSEOプラグインで投稿ごとに設定可能)。Perplexityなど一部のAI検索では回答とともにリンクプレビューを表示するケースもあるため、OGPが整っていればユーザーの興味を引きクリックを促すことにつながります。
クローラー最適化と技術的SEOからのLLMO
AIクローラーのアクセスを許可: 従来のGooglebotやBingbotに加え、生成AI系のクローラ(例えばPerplexityの「PerplexityBot」やOpenAIの「OAI-SearchBot」など)によるクロールが増えています。これらがサイトの重要ページを取得できるよう、robots.txtでブロックしないことが大切です。WordPressでは特別な設定変更は不要な場合が多いです。
サイトの知識グラフ情報設定: Yoast SEOやRank Math等の設定項目で、サイトの組織情報やロゴ、SNSアカウントなどKnowledge Graphに関わる情報を入力できるようになっています。これらは主にGoogle向けではありますが、適切に設定しておくことで検索エンジンにサイトの公式情報を伝え、信頼性向上につながります。結果的にAI検索でもサイト名やブランドが認識されやすくなり、有利になる可能性があります。例えば、組織の名称やロゴがSchemaに含まれていれば、AIがサイトを引用・表示する際にブランド名を正確に示す助けとなります。
現状だと、基本的なSEO対策がそのままLLMO対策につながっていく印象です。特にRank Mathプラグインは使用しやすいプラグインの一つであり、一度試してみてはいかがでしょうか。
以下は裏技的で、あまり推奨はできませんが強力な可能性があると感じる方法です。
ChatGPTプラグイン/検索プラグインとしてサイトを公式で提供
1-1. ChatGPT Plugins(OpenAIのプラグイン機能)
OpenAIが公式に「ChatGPT Plugins」機能を提供しており、企業や個人が自分のWebサービスをプラグインとして登録することができます。
- 例えば「OpenTable」や「Kayak」が自社データをChatGPTに提供しているのと同じように、自社サイトのAPIを提供し、ChatGPTがリアルタイムで検索・取得できるようにする。
- WordPressの場合は、カスタムAPIエンドポイントを作るか、専用のプラグインでAPIを構築して、そこからChatGPT Pluginとして接続できるようにする必要があります。
裏技的ポイント
- ChatGPTのプラグインギャラリーに掲載されると、ChatGPTユーザーがあなたのサイトデータを直接検索・利用するようになるため、アクセス増が見込める。
- 公開手続きはややハードルが高い(審査あり)ものの、「公式対応」としてOpenAIに認識されるので、半ば “特別扱い” を受けやすい可能性あり。
- ただし、開発には多少のプログラミングが必要で、現時点で日本語ドキュメントが限定的。
1-2. Bing Chatや他のAI検索向けのデータ登録
- Bing Chat → Bing Webmaster Tools でのサイト登録・IndexNowでのインデックス高速化などはすでに挙げた対策ですが、さらに拡張的に「Bing Search API」「Cognitive Services」などを活用し、自分のサイト専用の検索エンジンをAzure上で作る→Bing Chat拡張で取り込む、などが考えられます。
- Perplexity AI → 開発元に問い合わせたり、コミュニティで公開されているクローラー情報をもとに、特定の形でサイト情報をフィードできるか模索する。
- 現状、PerplexityのAPI連携はあまり一般公開されていないため難易度高め。
上記のようにAI側が提供している公式拡張ポイントを抑えることが、いわゆる“裏技”というよりは「ベンダー公式の裏ルート」です。LLM自体が参照するデータやAPIが増えるほど、回答に取り上げられやすくなる可能性があります。
2. ソーシャルやQ&Aプラットフォームで“自社名 + URL”を拡散
2-1. LLMの学習データに入りやすい“大規模プラットフォーム”を活用
ChatGPTや他のLLMの学習データには、「大規模プラットフォーム上のコンテンツ」や「多言語Wikis」などが含まれやすいとされています。
- 例えば**Reddit(海外掲示板)**は多くのLLMでトレーニングデータに使われたと公言されている例があり、有名です。
- QuoraやStack Exchangeといった大手Q&Aコミュニティも同様。
- 日本向けだとnoteやはてなブログなどが学習データ対象になった実績があるという説もあります(ただし公には情報が少ない)。
裏技的ポイント
- これらのQ&A・SNSプラットフォームで自社サイトの情報やURLを含む回答・トピックを投稿しておくと、学習データに組み込まれる可能性が高まる。
- LLMが「過去の学習データでよく見かけるURL・ブランド」として認識しやすくなり、その後の回答で参照されやすくなる(ただし絶対ではない)。
- 過剰なスパム投稿は逆効果。コミュニティガイドラインを守り、自然に有益な回答や記事として掲載する必要がある。
2-2. Wikipedia / Wikidataなどへの掲載
- Wikipediaに自社ページを作りたい、という企業や組織は多いですが、広告・宣伝目的でのページは削除対象になりやすい。
- ただし、第三者が客観的に書いた記事で有意義な情報があれば、掲載されることもあります。
- Wikidataに企業・製品・サービスとしてのIDを登録すると、LLMが固有名詞として認識しやすくなるケースあり。
LLMはWikipediaを主要なコーパス(学習ソース)として用いることが多く、Wikipedia上にきちんと正しい形で掲載されている情報はAIの回答に組み込まれやすい傾向があります。これも裏技というよりは「定番の権威化手段」ですが、実現できれば効果が期待できます。
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